こんにちは!個別指導グノリンクの『リンクペディア小学生コラム』を読んでくれてありがとう。
サピックスの新5年生のBテキストは椎名誠の「続 岳物語」から出典された『チャンピオン・ベルト』でした。筆者と息子・岳との交流を描いた私小説で、小学生の皆さんには岳の気持ち、皆さんのお父さんやお母さんにはおとう(椎名誠)の気持ちがよくわかる楽しいお話です。
私小説というのは筆者自身の身に起こった現実の事柄をもとに、ストーリーを膨らませたり脚色をしたりした物語で、いわば事実にもとづくフィクションという位置づけです。
みなさんが塾の授業で取り組んだことがある随筆文は私小説と似ていますがこちらはノンフィクションに分類されるのでストーリー性は重視されていません。あくまでも筆者の体験・エピソード、そしてそこから感じたことが書かれたものが随筆文です。
随筆文には筆者の一人称で語られる小説のようなタイプと、明確な論理展開があり論説文形式のようなタイプがあります。どちらも筆者の思いを読み取ることが大切で、テーマは何なのか、そして筆者はそれに対して否定的な感想を持っているのかそれとも肯定的にとらえているのかを考えながら読んでみてください。
登場人物の仕草や表情の描写・情景描写にも筆者の気持ちが投影されていることが多いので隠れた思いも読み取るようにしましょう。ここで大切なのは自分の思いは封印することです。読んでいるうちに共感したり、反発したり皆さんなりの感想があると思いますが、問題を解くときにはそれを加味せずにあくまで文章から読み取れることから答えを導くようにしてください。
小学生のみなさんにおすすめの随筆は、さくらももこの「もものかんづめ」や芥川賞作家・三浦哲郎の「随筆集 下駄の音」です。この作家の「ユタと不思議な仲間たち」なら読んだことがある人も多いかもしれません。
おうち時間の長い今、読書を楽しんでくださいね。

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