こんにちは!個別グノリンクの『小学生の君に送る60秒コラム』を読んでくれてありがとう。

 

2020年度施行の学習指導要領による常用漢字は、2136字。そのうち小学生で習う漢字は1026字です。学年では4年生が202字と一番多く、ついで3年生の200字、5年生の193字、6年生の191字と続きます。

漢字の覚え方は人それぞれですが、面白く覚える方法の一つとして「語源をたどる」を挙げることができるでしょう。

たとえば「要(かなめ)」。この漢字は4年生で習います。部首は「西」。象形文字で人体の最も大事な部分の「かなめ」である「腰」の元になった字です。重要、要約、必要、要石、要人…どれも大事な意味の言葉だということは予想がつきますね。また「要」と聞いて、扇や扇子の骨をとじ合わせる根本にはめ込んだ金属の楔(くさび)のことを頭に浮かべた人もいるかも知れません。

扇は開閉が命。開いた時に末広がりになる縁起の良いものだけに、要部分が扇の良し悪しを決めると言ってもいいでしょう。昔は鯨の骨を使い、蟹(かに)の目とも呼ばれていたそう。たしかに、小さな蟹の目にも見えますね。

扇や扇子(せんす)の折りたたみ式のものは、平安時代に生まれたとされています。おひな様が持っているのがまさにそれ。檜扇(ひおうぎ)と呼ばれています。宮中の女性に好まれた檜扇は、のちに竹の骨組みの片側に紙を貼りつけた紙扇「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)」となるのですが、現在の扇に近い形です。

また「扇」と似ているものに「団扇(うちわ)」があります。扇や扇子が折りたためるのに対し、団扇は折りたたむことはできません。古代エジプト、ツタンカーメンの墓室の壁画にも大きな団扇が描かれていますが、権力の象徴として、国王とその親族にだけ使用されていました。

「団扇」の語源は、害を羽で打ち払うから「打ち羽」。漢字の由来は中国からです。「団」とは中国語で丸いという意味。観音開きの開閉の際に風が生じる様子の「扇」の漢字が使われ、日本でも2字の漢字で表されるようになりました。

さて、ここで問題。団扇の生産地の日本一はいったいどこでしょうか?

答えは、四国の香川県の丸亀。なんと国内シェア9割を占めているのだそう。

竹製の団扇は、金毘羅(こんぴら)宮参拝のお客さんの土産物として作られ、国の伝統工芸品にも指定されています。

夏の風物詩でもある団扇ですが、「団扇作る」は春の季語。夏の需要に備えて春のうちに作るから。なるほど納得です。

 

ところで、漢字は中国から伝来したものだけではなく、日本で作られている漢字もあります。この和製漢字は国字と呼ばれています。小学校で習うのは3年生の「畑」と4年生の「働く」の二つのみ。中学校では「峠(とうげ)」、「粋」「塀(へい)」、「匂」などの9字ですが、日本特有の文化の香りが漂う言葉が多い気がしますね。

日本語の言葉の由来や歴史の解説が載っている語源辞典。ぜひとも「調べる」手間を惜しまず慣れ親しんで欲しいと思います。

 

ちなみに辞書で言葉を調べる際に使う漢字は「引く」。これは2年生で習う漢字です。

⚫︎たぐり寄せる。

⚫︎多くのものから一つを手元に取る。

などの意味ですね。くじ引きも「引く」と使います。運任せではなく、自ら引き寄せると思うと身が引き締まりませんか?

漢字のルーツを知ることは歴史や文化を知ることと同じです。何気なく使っている言葉も改めて調べてみるとその奥深さ、面白さに驚くはずです。まさに【温故知新(古い教えから新しい知識を学ぶ)】ですね。