こんにちは!個別グノリンクの『小学生の君に送る60秒コラム』を読んでくれてありがとう。

国語は正解がないから苦手、という声を聞くことがあります。これはある意味正解ですし、またある意味においては不正解とも言えます。

読解において、大事なことは我流で読まないということです。

読解を絵にたとえるなら、画家の描いた元の絵に薄いトレーシングペーパーを置いて写すようなもの。ですからオリジナルの絵に、勝手に描き加えることは御法度(ごはっと)です。もちろん、色や画材も変えてはいけません。

写し絵が大事なわけは、作家の伝えたい「鍵」となる肝の部分に触れることができるからです。なぞることで、作家の細部のこだわりや自分と違う観点や感性のシャワーを浴びることとなり、自分自身の世界が広がります。ここは躊躇(ちゅうちょ)することなく相手の世界に飛び込んでみることをオススメします。自分を知るために自分以外を知ることが必要というわけです。

文章読解の醍醐味(だいごみ)は、他者と自分との共通点や相違点の発見にあります。
その発見の手助けとなるのが思考力、つまり「考える力」です。

ここでひとつ想像してみてください。何かに追われて絶体絶命の状態を。前に壁。後ろにも壁。右にも左も壁です。みなさんなら、どう立ち向かいますか?

①壁を壊す。
それも妙案ですね。

②地面を掘る。
なるほど。

③タケコプターで空を飛ぶ。
すばらしい!

柔軟な発想で行動を起こし、ピンチをチャンスに変える。そこで求められるのはダイバーシティです。ダイバーシティとは【多様性】のこと。一元的な視点ではなく、多方面から物事をとらえる考え方です。

円柱を真上から見たら円ですが、横から見ると長方形になりますね。視点ひとつで、風景が変わる。同時間に起きた出来事でも、関わった人の数だけ感じ方があり、物語が生まれているのです。

にっちもさっちもいかない状況から俯瞰(ふかん)し、ちがう角度で試行錯誤してみる。その先には、きっと新しい世界が待っているはずです。

ちなみに、にっちもさっちも…これを漢字で表すと【二進も三進も】となります。
え、これ算数?そのとおり。そろばん用語が由来なのです。
2÷2がにっち。
3÷3がさっち。
つまり、【にっちもさっちもいかない】とは2でも3でも割ることができずにどうにもならない、身動きが取れないという意味。面白いですね。

こんなふうに疑問や好奇心が文章を読む中で、むくむくと頭をもたげてきたら想像の翼の準備は完了。

国語に正解があるのかないのか。さあ、答えを探す旅に出てみませんか?