こんにちは!個別グノリンクの『小学生の君に送る60秒コラム』を読んでくれてありがとう。

「ぼくがめになろう。」
あ、これ!その通り。グラフィックデザイナーでもあり絵本作家でもあるレオ=レオニの作品『スイミー』の一文です。兄弟たちは全部、マグロ食べられてしまい、ひとりぼっちになってしまった小さな黒い魚、スイミー。孤独で悲しみの淵から勇気をふりしぼり、たくさんの生き物との出会い、知らなかった海の素晴らしさに元気を取り戻していく描写に胸が熱くなった人もいるのではないでしょうか。

スイミーはある時、岩かげに隠れている、自分と同じ小さな魚だけれど赤い色の仲間たちを見つけ、隠れていないで外に出ようと誘います。怖がって出ようとしない仲間に、自分たちも大きな魚のフリをすれば負けない、と伝えるのです。スイミーに同調し、大きな魚のように見える泳ぎ方を一丸(いちがん)となって練習する仲間たち。
そして大きな海へ…。
その際にスイミーが言ったセリフが「ぼくが目になろう。」です。

1977年から現在まで、長きにわたって教科書に載っているこの話の魅力は、ストーリーとともに絵のすばらしさにあります。大きな魚をかたどる赤い小さな魚たちの群れ。黒い目の部分を泳ぐスイミー。遠くから見ると強そうな赤い魚の正体が、実は小さな魚の集合体だったとは。「マクロ」の全貌(ぜんぼう)と「ミクロ」の一部分が相似をなすと気づいた瞬間に、拍手を送りたくなりますね。まさにフラクタル図形(原型となる小さな形が拡大しても同じ形)を見ているよう。圧巻です。レオ=レオニのグラフィックデザイナーならではの視点、美学が集約されている名作です。

ものごとが人の心に残る際には、言葉だけでなく視覚や聴覚、嗅覚も密接に関わっているといいます。文字だけを目で見るだけでは、素通りして行くばかり。決して心に語りかけてはくれません。

「文章を読む」とは、書いてある内容を自分用に咀嚼(そしゃく=かみ砕くこと)して記憶していくことです。大事なことは、「イメージできる」かどうか。

ぜひ、文章で細かい描写があった際には、その内容を絵や図で実際に表してみてください。絵のうまいヘタは関係ないのでご安心を。あくまで自分のために。手を動かすことが肝要です。
描かれているモノが文章と合っているかどうか。過不足がないか比較してみましょう。最初は難しいかもしれませんが、回を重ねるごとに、情報を短時間で整理し理解することができるようになっていくでしょう。

森という漢字は木が三つ。木が300本、30000本…と増えるイメージが浮かびましたか?視覚を使って文章をより深く、正確にとらえていくために必要なのは、ミクロもマクロも必要。
まさに【木を見て、森も見る!】です。