こんにちは。リンクぺディアの3分コラムを読んでくださってありがとうございます。

前回は、応用問題の解き方の中で類似点の発見について述べました。
しかり、自分が解いてきた問題の中で類題が見つからない場合は前述の方針では解けませんね。その場合試して見てもらいたいのが、答えからの予測・逆算です。現在どのような情報が与えられているか、何を問われているか、その接続を逆算的に考えます。
以下に数問出してみますので、読み進める前に少し考えてみてください。「なぜ自分がその解法を選択するのか」の言語化も意識してみてください。

(1)$\triangle{\rm ABC}$が$\sin{\rm A}+\sin{\rm B}+\sin{\rm C}=4\cos{\frac{\rm A}{2}}\cos{\frac{\rm B}{2}}\cos{\frac{\rm C}{2}}$が成り立つとき、$\triangle{\rm ABC}$の形状を答えよ。

(2)原点${\rm O}$と四角形${\rm ABCD}$について、$\overrightarrow{\rm OA}+\overrightarrow{\rm OC}=\overrightarrow{\rm OB}+\overrightarrow{\rm OD}$が成り立つとき、四角形${\rm ABCD}$の形状を答えよ。

まず(1)ですが、初見であれば苦戦した方も多いと思います。解いたことのある方も、当時スラスラ解けましたでしょうか。まず大前提として、(どの問題でもそうですが)この問題は解けるから出題されているのです。さらに数学の問題は基本的には使う情報しか与えてくれないものがほとんど(筆者の体感で99%ほど)です。つまり、与えられた情報はすべて使うものと考えてみてください。
そのうえで考えると、この1問の中で利用する可能性がありそうなのは

$\triangle{\rm ABC}$だからこそ解ける。つまり$\angle{\rm A}+\angle{\rm B}+\angle{\rm C}=180^{\circ}$を用いる
左辺は$\sin$の和で、右辺は$\cos$の積、つまり両辺の次数が異なる
左辺は$\frac{\rm A}{2}$、右辺は$A$で、三角関数の中身が異なる

の3点です。
1に関しては、$C=\pi -({\rm A+B})$として変数を減らすのに利用ができそうです。2と3に関しては、加法定理の利用である積和・和積の公式の利用ができるでしょう。(思いつかなかった方は、公式のアウトプットが足りていない可能性があります。しっかり復習をしましょう。)

上記のように、「解けるから出題されている」→「解けるとしたら何を使う」の順に考えられるようになると、類題が見つからない問題でも解ける場合が増えてくるでしょう。

次に(2)です。この問題はおそらく、がむしゃらに式を動かしたところで答えにたどり着きづらいものになります。気にしていただきたいのは
四角形の形状を観察するのに、基点(始点)を原点${\rm O}$に定めるのは好ましくない
形状を答えるということは、正方形や平行四辺形など名称の決まっている四角形である可能性が非常に高い
の2点と考えます。
まずは1から、基点を任意の点に整えて式を整理してみましょう。
その式を見て、2の中から答えの予測をすることで、運ぶべき式の形が見えてくるでしょう。

(もちろん問題にもよりますが)ある程度答えの予測をしたうえで、その解答にたどり着くにはどうしたら良いかを考えながら進めてみましょう。