こんにちは。個別指導グノリンクの 『リンクペディア 3分コラム』を読んでくれてありがとうございます。

前回の記事では、ある英単語の意味の形成には、その単語を構成する接頭辞・語幹・接尾辞以外の要素が関わることを確認できました。今回の記事では、これを踏まえて、語源的知識を使って、何ができないのかを考えていきたいと思います。

1.語源的知識があれば、英単語の正確な意味がわかるのか

さて、よくある主張として、語源的知識があれば、英単語の正確な意味がわかるという主張があります。前回の記事であげた例を使えば、その主張は次のようなものです。diseaseという単語を要素に分けると  dis- と ease に分けられる。この接頭辞は「否定」を意味し、語幹の ease は「安静」を意味する。すなわち、この単語の正確な意味は「安静ではない状態」である、と。
果たしてこの主張は正しいのでしょうか。実は、この立場は次の危うい前提に依拠しています。

前提:英単語の意味の形成には、接頭辞・語幹・接尾辞のみが本質的に関わっている。

この前提が誤っていることは、前回の記事の内容からからわかっていただけると思います。3種類の要素以外のものも単語の意味の形成には関わっているからです。実際に、disease の例を見ても、「安静ではない状態」から、直ちに正しい意味である「病気」へはつながらないですよね。接頭辞・語幹・接尾辞の意味を組み合わせたものと、その単語の実際の意味の間には隔たりがつきものです。
したがって、単語の正確な意味を理解するために、語源的知識を使うべきではないでしょう。

2.語源的知識があれば、未知の単語の意味を推測できるのか

次によく行われる主張として「語源的知識があれば未知の単語の意味を推測できる」というものがあります。これも私は以下の理由から退けられるべきものだと考えます。

①英単語の意味の形成には、接頭辞・語幹・接尾辞以外のものが関わっている。
②接頭辞や接尾辞には複数の意味があり、単語を眺めているだけではその複数の意味から一つを選ぶことができない。

①についてはもう何も言う必要がないでしょう。
②は少し接頭辞や接尾辞の勉強をしたことがあれば誰でもわかることです。例えば、re- という接頭辞には「後ろに」「繰り返し」「下に」などの意味があります。reside という単語を知らない生徒が、この単語に出会った時に re-と side にこの単語を分けられたとしましょう。そして奇跡的な連想から、side の部分はどうやら sit と関係しているのではないかと思えたとしましょう。しかし、この生徒には「後ろに座る」「繰り返し座る」「下に座る」の3通りの解釈可能性が残ってしまいます。

ここで、文脈に合わせてその3つのうちから選べば良いではないか、という反論があるかもしれません。しかし、この反論は有効ではありません。というのも、この反論をすることによって、語源的知識以外のものが必要になることが認められてしまっているからです。

したがって、未知の単語の意味を推測するのに、語源的知識のみを使うのは危険だと思われます。文脈と組み合わせれば、語源的知識が使える可能性はあります。

以上、語源的知識を使って何ができないかを確認しました。次の記事では、逆に語源的知識を使うと何ができるのかについて確認したいと思います。