こんにちは!個別指導グノリンクの『小学生の君に送る60秒コラム』を読んでくれてありがとう。

さて、皆さんの中に「徳川さんばかりで江戸時代の将軍の名前が覚えられない…」という人がいると思います。
今回はそんな皆さんのために、当時の名乗り方についてみてみたいと思います。

江戸時代の将軍の名前を並べてみると、多くの将軍に同じ漢字が使われていることに気が付きます。「家」という字ですが、これは、初代将軍の家康が名乗ったのが始まりです。家康と名乗る前は「松平元康」と名乗っていましたが、この元という字は当時の主君だった戦国大名の「今川義元」から与えられた字です(このように主君などから名前を1文字もらうことを偏諱といい、鎌倉~江戸時代に多く見られました)。

江戸時代、「家」という字を名前に入れることができる人物は限られており、将来の将軍になると見込まれた人物だけが名乗ることが出来ました。そのため、多くの将軍は「家」の字を使っているのです。

ところが、江戸時代の将軍の中に「家」の字が含まれていない人物がいます2代秀忠、5代綱吉、8代吉宗、15代慶喜の4名です。この4人には共通点があります。それは、「当初は将軍になる予定ではなかった人物である」ということです(実はこの4名以外にも当初将軍になる予定ではなかった人物がいますが、彼らは跡継ぎに決まった段階で改名しています)。

そしてこの4名、全員他の人物から偏諱を受けています。

・秀忠の「秀」→元服当時の天下人、豊臣秀吉から
・綱吉の「綱」→兄であり元服当時の将軍である4代将軍家綱から
・吉宗の「吉」→紀州藩主になった時に当時の将軍綱吉から
・慶喜の「慶」→一橋家を相続した時に当時の将軍12代家慶から

今回は徳川将軍家を取り上げましたが、他の家や時代でも目上の人物から名前を1文字与えられた例は多数存在しています当時は途中で改名することが非常に多かったため、当初は違う名前を名乗っていたとしても偏諱を受けることが出来たわけです。
偏諱の関係を探してみると、時代の流れがわかるかもしれませんね。

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